「薬剤疫学実践講座」開催報告を掲載

薬剤疫学実践講座
医療データベースを活用した薬剤疫学研究の注意点について

 去る2017年10月、CACクロアは、「薬剤疫学実践講座」を開催しました。
講師には、慶應義塾大学薬学部教授の漆原尚巳先生をお招きし、薬剤疫学研究において必須となる、基礎基盤を深める講座内容となりました。

開催概要

開催日 2017年10月5日(木)
会場 AP東京丸の内
参加者 66名
主催 株式会社CACクロア

セッション

Opening

医療情報データベースへの取り組み

北島 行雄

株式会社CACクロア
メディカルサイエンス・コンサルティング事業部長
執行役員 北島 行雄

 2018年度にMID-NETの本格運用および改正GPSP省令の施行が予定されており、医薬品リスク管理計画(RMP)の中でも医療情報データベース(以下、データベースはDBと略す)の利活用が実現することになります。新しい時代がすぐそこまで来ていると実感しています。

 これに先駆けて、当社は数年前からDB研究に取り組んできました。その一つが、シグナルマネジメントシステムであるImportant Risk Visualizer(IRV)の開発です。IRVは、当社安全性DBだけでなく、JADERとFAERSを使用し、安全性検討事項の重要リスク情報を表示して安全対策状況を俯瞰的に把握するための「見える化ツール」です。扱う領域は、糖尿病、抗血栓、呼吸器系、中枢神経系、癌など、幅広いものとなっています。DB研究における研究デザインや統計解析などの手法についても、大学と共同研究を実施しており、今後も医療情報DBを利活用する広がりが期待できると考えています。

 さらに2017年7月には「リアルワールドサイエンス部」を発足させました。製薬企業のプロアクティブな安全対策、戦略的な育薬計画、製品価値を大きくする活動に貢献することを目指して活動しております。当社はIT企業が興したCROであり、ITを活用して製薬企業のミッションの達成に貢献することを掲げており、DB研究への取り組みは重要であると考えています。

DB研究における大きな課題が「安全性検討事項をいかにリサーチ・クエスチョンに置き換えるか」ということです。リサーチ・クエスチョンの設定に至るには重要なステップが複数あり、大きな落とし穴もありますが、製造販売後調査(PMS)よりもはるかに短期間で結果が得られます。これは製薬企業だけでなく、ゆくゆくは患者さまのベネフィットにもつながります。

本講座は「医療DBを活用した薬剤疫学研究の注意点」と題して、そもそもDB研究とは何か、製造販売後調査の落とし穴、そしてリサーチ・クエスチョンと安全性監視計画(PVP)について講演していただきます。基礎的な知識を含め、DB研究の入り口まで導いていただけると思います。

Session2

薬剤疫学実践講座

教授 漆原 尚巳先生

慶應義塾大学
薬学部・薬学研究科 医薬品開発規制科学講座
教授 漆原 尚巳先生

 本講座では、DB研究の紹介から始め、実際に利活用するうえで必要な知識と注意点について、リサーチクエスチョンをキーワードに解説したいと思います。

 医療DB研究をPMSに活用する意義は、限られた時間とリソースの中で、妥当な結果を得ることにあります。これはRMP指針に関連付けて紐解くことができます。RMPでは疫学調査を、追加の医薬品安全性監視活動として位置づけております。例えば、原疾患や、その合併症の自然経過の中で背景発現率の高い有害事象がある場合、製販後調査では当該医薬品による副作用等との鑑別が困難になり得るためです。その場合、適応疾患に伴う併存症状の背景発現率を推定する方法として、疫学調査を用いることができます。

DB研究は、他の研究者や組織が別の目的で集めた既存のデータを扱うため、2次研究(secondary research)と呼ばれています。対象者への接触(患者への介入)は不要であるため、非反応(nonreactive)、非干渉(unobtrusive)な研究とも呼ばれます。しかしながら、自分たちの目的に応じてデータを集める1次研究(primary research)と比較して、2次研究には複数の留意事項があります。これらを把握しなければ、せっかくの医療情報DB研究のメリットを活かせなくなってしまいます。

 

現在、続く全容を掲載した小冊子を作成中です。

医療データベースを活用して、適切な研究結果を挙げるための要点を基礎からまとめた資料は、まだ少ないと思われます。

完成の際は、別途お知らせいたします。

※記載されている情報は2017年10月時点のものです。

セミナーに関するお問い合わせ

薬剤疫学実践講座 運営事務局

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