「安全性情報管理セミナー 2009」開催レポートを掲載

安全性情報管理セミナー

「安全性情報管理セミナー 2009」の様子 1966年にソフトウェア開発会社として創業したCACは、43年目を迎えました。一般には中堅のシステムインテグレータと評されていますが、近年、力を入れているのがBTO(ビジネス・トランスフォーメーション・アウトソーシング)です。BTOは、業務の一部をアウトソーシングするBPOの上位概念であり、顧客のパートナーとしてビジネスの変革や業務の改革を一緒に目指していくことです。

CACでは、5、6年前から、医薬業界のお客様に対し、コンピュータシステムの先にある業務にも支援サービスを提供したい、と考え始めました。そのために社内の人材育成に投資し、製薬メーカーで業務に携わっていた人材も採用して、組織を強化してきています。

今回のセミナーでは安全性情報管理をテーマとしました。医薬品安全対策の強化、副作用報告数の増加、海外への進出等により、どの製薬企業においても、安全性管理業務の業務量は逼迫してきています。このような状況を乗り越えるためには、(1)社員のコア業務への集中、(2)ノンコア業務の外注化、を検討することが必要となってきます。CACは、お客様に業務とITの両面から、グローバル対応支援も含めた様々なサービスを提供することにより、お客様が「コア業務」に集中するためのご支援をさせていただきます。

東京 大阪
開催日 2008年12月2日(火) 2008年12月11日(木)
会場 ベルサール八重洲 メルパルク大阪
主催 株式会社シーエーシー

セッション内容

セッション1

CACの安全性情報管理業務支援サービスの概要とグローバル対応
株式会社シーエーシー 医薬BTOユニット 医薬BTO第三センター ビジネスディレクター 松尾 聖信 株式会社シーエーシー 医薬BTOユニット 医薬BTO第三センター 受託安全管理実施責任者 岩岡 貞樹

株式会社シーエーシー 医薬BTOユニット 医薬BTO第三センター

ビジネスディレクター 松尾 聖信

株式会社シーエーシー 医薬BTOユニット 医薬BTO第三センター

受託安全管理実施責任者 岩岡 貞樹

●安全性情報管理業務サービスのご紹介

近年、医薬品の安全対策における規制は少しずつ強化されています。医薬品副作用の当局への症例報告数は過去3年で1.5倍に増加し、現在約12万件。製薬企業では、M&Aなど厳しい環境の中での社員数の抑制、派遣社員の教育・管理などの負荷が高まり、どのようにPVコア業務へシフトしていくべきか、が課題となっています。その解決には、業務プロセスの見直しを行って業務の負荷を下げ、コア業務へシフトする余裕を得ること、ITやネットワークを活用し業務の効率化を図ること、などが必要でしょう。CACでは、これらを支援するため、次の3種類のサービスをご用意しています。

  1. 業務プロセスの見直し:内資系、外資系の複数のお客様の安全性情報管理業務の受託を行い、かつ、様々な安全性情報管理パッケージの長所短所を熟知するCACだからこそ可能なコンサルティングにより業務プロセスの見直しを行います。単純な一部の業務ルールの改変にとどまらず、パッケージ機能も使い切り、業務の効率化と品質の向上を目指していきます。
  2. ICT(情報通信技術)の活用:システム導入の予算計画立案、要求仕様策定段階からパッケージの評価・選定と導入および運用開始後のCSV支援など、最初から最後までご支援します。
  3. 業務受託:支援形態は、顧客の社内に要員が常駐する、ネットワーク経由で顧客データベースにアクセスしてやりとりする、メールベースでやりとりするなど、お客様のご要望に応じた形態でご支援します。

こうした支援サービスは、現在、70名以上で、コンサルテーションからシステム導入、教育までを担当しています。2008年末時点で、内資4社、外資1社の計5社にて、国内/海外症例、治験症例、市販後症例について、データ入力/コーディング/翻訳/評価案検討/報告書作成などをご支援しています。顧客の業務プロセスをきちんと理解した上で、業務ルール、責任範囲を明文化し、それをITで支えている点がCACの強みです。人材をベースに業務プロセスをいかにうまく定義してICTを活用しきるかが重要でしょう。今後は、ルーチン業務だけでなく一部のコア業務も外部委託するなどトランスフォーメーションが一層進み、外部企業と共に創造するCo-Sourcingの時代が到来すると思います。

●安全性情報管理グローバル対応サービスのご紹介

グローバルな安全性情報管理業務支援の3本柱として、ICH E2Bのあるべき姿の実現、グローバルSOPの作成やオーディット、グローバルな個別症例のルーチン的な処理、が挙げられます。本来、どこからでも副作用情報が報告されてしかるべき、というのがE2Bのポリシーであり、単に企業から規制当局へ提出するだけでなく、各国規制当局同士、企業同士が症例を交換するための道具がE2Bなのです。

アンケート調査では、日本企業から海外の当局へE2Bが直接送られている事例は皆無でした。これは日本の問題でもあり、日本企業がグローバル展開をするときの障害になっていると言えます。安全性部門の機能は、事後処理ではなく将来まで見越して警鐘を出すことです。それが実現できていたら、過去に問題となった医薬品のlifecycleも変わっていたのではないでしょうか。

海外の規制環境は日本以上に厳しくなっており、海外展開する際にはそうした事情を理解することが必要でしょう。また、技術的な問題として、海外と日本でゲートウェイの認証方式が違うため、同一ゲートウェイで複数の規制当局に送信できていないことが挙げられます。サービスの理想形は、顧客にCACのデータベースを使っていただき、三極対応の完成したCACのゲートウェイから三極に送ることです。現在は、顧客のDBを預かるハウジングサービスを提供しており、いずれアプリケーションサービスプロバイダ(ASP)という形でご提供したいと考えています。

安全性のデータベース(SDB)には大きな2つの流れがあります。1つは市販のデータベースですが、残念ながらこれらは、特に海外から輸入されるものの場合、日本の細かい規制に対応しているとは言えません。もう1つは、データセンター(ハウジング)です。こちらを利用していただければ、製薬企業の安全性部門のスタッフにはより高度なコア業務に集中していただくことができます。

FDA査察官がチェックするドキュメントリストのトップはグローバルSOPです。数年前は単にSOPという表現でしたが、最近はグローバルSOPと明記されるようになりました。企業がグローバル化しているという現実から、グローバル対応のSOPを備えていることがチェックされるわけです。これに対し、CACでは、顧客の手順を理解した上で、これらグローバルSOPを作成するサービスを行っています。一般にはこれらは12~13個のSOP数になっています。

以上のように、CACでは、グローバルSOPの作成、グローバルデータベースの選定・評価・設置・バリデーション、グローバルゲートウェイサービス、グローバルオーディット対応、などのサービスをご提供しています。幸運なことに、興和株式会社というお客様を得ることができ、FDA、EMEAとの送受信が可能になりました。今後は、冒頭にも述べたICH E2Bのあるべき姿の実現に向けたご支援を行っていきたいと考えています。

セッション2

グローバルPV体制確立について

興和株式会社 安全管理部

安全システム管理課長 大橋 羊介様

興和株式会社 安全管理部 安全システム管理課長 大橋 羊介様

弊社は日本に本社を置き、現在欧米への製品展開を進めている製薬会社です。2006年夏に、私の所属する安全管理部でもグローバル化への対応を求められました。承認申請の目標は2年以上先の2008年10月で、欧州の申請国、他の販社との提携の有無、承認取得者は誰かなど、安全性の組織体制に大きく影響する要因が未決定で、悩みながらのスタートでした。外国で薬を売るならその国の文化や規制を十分に理解する必要があるため米国・英国の子会社に協力を求めました。しかし彼らは臨床開発の部隊で、必ずしも市販後の安全性に造詣が深い訳ではありませんでした。そこで、アドバイスをもらえるコンサルタントを探し始めたのです。2006年12月、いくつかの候補から、システム導入の経験、海外規制の知識、パッケージベンダーではない中立的な立場、海外とのコミュニケーション能力などを勘案してCACを選定しました。プロジェクト開始は2007年3月、データベースの稼動を2008年10月に開始できるようスケジュールを作成しました。

プロジェクトは3つのフェーズに分けて行いました。最初の「基本構想策定・業務プロセス設計フェーズ」ではプロジェクト全体を通した目的と考え方をまとめた基本計画書を作り、実際のスケジュールや成果物、メンバーの役割と責任の範囲を定めるプロジェクト計画書、三極それぞれの事情をすり合わせて共通の手順とルールを定めるグローバルSOPも作成しました。基本計画書は、問題が起きたとき立ち返り判断の拠り所となる重要な文書です、時間をかけて十分にレビューしましょう。時間がないからといって手を抜くとのちに問題が生じたときに悩むことになります。

続くパッケージ選定フェーズでは、ベンダーに質問状を送り、その回答をもとにデータベースソフトを選定しました。デモ版を借りて実際に動かし、本当にこちらの要求が満たせるかをチェックすることも重要です。また、選定の根拠は、あいまいにならないよう記録に残しましょう。

最後の導入フェーズでは次のようなトラブルもありました。

  • ワークフローの見直し:メールやビデオ会議で海外の事業所にフローを説明し十分に納得してもらっていたはずなのに最終のface to faceの会議でフローの見直しを要求されたため2ヶ月ほどスケジュールが遅れました。原因は相互の理解不足で、込み入ったことは直接会って話をしないと伝わらないと、痛感しました。この遅れは致命的でありましたが、システム稼動に影響がない報告書の作成を後回しに、CACにもPQの実施期間を人数の追加で短縮してもらい、なんとか遅れを取り戻しました。
  • PQ終盤にマスターに問題発生:PQの最後になって問題が発生しましたが、使用開始を遅らせることは難しく、運用で回避するという選択を行いました。この選択は基本計画書に基づくもので、判断基準として有用でした。
  • 担当者の交代:プロジェクトの終盤にEU側の担当者が退社しました。慌てて現地まで行き引継ぎをしました。欧米は1つの会社に留まらない傾向があるので注意が必要です。

現在もまだ課題は盛りだくさんで、帳票作成やデータ移行、スタッフ教育や運用で回避している部分の改善などを引き続き行っています。2008年10月、バリデーション報告をして稼動開始しましたが、押し気味のスケジュールとなり、とりあえず稼動優先でプロジェクト報告は10月以降に遅らせている状況です。グローバルシステムの導入経験や、外国の規制要件について十分な知識がなかった当社ですが、CACに的確なアドバイスをもらい、助けてもらいました。このプロジェクトでの私の一番の反省点は、会社側の意思決定に十分な時間がさけなかった事です。製薬企業の皆様には、最終的な意思決定をきちんとできる体制を整えつつ、上手に外部の専門家を利用してほしいと思います。

セッション3

海外規制への対応 -External Audit利用のベネフィット-

Dr. Teiki Iwaoka CAC Corporation

Dr. Maria C. Koster CEO & President, Vigilex

Dr. Teiki Iwaoka CAC Corporation Dr. Maria C. Koster CEO & President, Vigilex

EUにおける販売承認(MA)の申請方法は複雑で、各国の当局の規制に加えてEUの規制がより厳しいものとして認識されなければなりません。また、EUのPV監査はたいへん厳格で、合格するとFDAや厚生労働省の監査にはすんなり通ると言われています。

まず、臨床試験を行う際、スポンサーである製薬企業は次のことに対して責任を持たなくてはなりません。

  1. EUDRACT番号(臨床試験の承認番号)を取得する。
  2. 緊急の個別症例安全性報告は該当する7日または15日以内に提出する。
  3. ASR(Annual Safety Report)を提出する。
  4. PVの概要に関して責任と報告義務をプロトコルに明確に記載する。また、治験薬概要書はEUの規制当局の指針に基づいていなければならない。
  5. CROを採用している場合は、スポンサーがCROに対して求めていること(PV活動や責任など)を契約に明確に記載する。

治験が終了し、販売承認申請(MAA)に際しては規制当局にいくつかのPV関連文書提出します。その1つはDetailed Description of the PV System(DDPS)で、Qualified Person for Pharmacovigilance(QPPV)の名前、薬剤の詳細な説明などが記載されなければなりません。2つ目はリスクマネジメントプラン(RMP)で、EUの規制当局は、十分なリスクの軽減計画が会社にあることを要求します。

いったんMAを獲得したら、販売承認取得者(MAH)としていろいろな必要条件を満たさねばなりません。これについては、Volume9A Part Iの1.2に、以下のように記載があります。

  • MAHは、自社に、PVとリスク管理のための適切なシステムがあることを保証しなければならない。
  • 対象製品のリスクーベネフィットバランスに関する情報は、各国規制当局(CA)と当局に、直ちに完全な形で報告しなければならない。
  • QPPVを恒久的かつ途切れなく保有していなければならない。
  • すべてのプロセス、リソース、コミュニケーション手続きなどが十分であることを確認しなければならない。QPPVが関連情報のソースにもアクセスできるよう、サポートを提供しなければならない。
  • QPPVは十分な権限を持っていなければならない。
  • Business Continuity Planを立てなければならない。

EUの当局の査察基準はEU域外でも適用されます。2008年には多数の日本企業が監査を受けましたが、準備を整えて査察に臨まない日本企業が、決定的なミスの指摘や再検査を受ける例が目立ちます。日本での大きな問題の1つは、グローバルな品質保証システムがないことです。また、QPPVが、シグナル検出に十分に関与していない、という指摘もあります。日本と欧州では、PVシステムにかなりの違いがあります。責任者の資質、守るべき法律、QPPVの条件と責任の範囲などです。外部オーディットによる監査を十分に行えば規制当局の査察に対する準備になり、スタッフの研修や育成につながります。その際、豊富な経験と専門知識を持つ社外監査会社を使えば、より高いレベルで査察に備えることができるでしょう。

セッション4

アウトソーシングへの取り組み

株式会社シーエーシー 医薬BTOユニット 医薬BTO第三センター

瀬戸 極

株式会社シーエーシー 医薬BTOユニット 医薬BTO第三センター 瀬戸 極

今日の安全性情報管理には、薬の安全性に対する社会的責任の増大や規制強化に伴う業務量の増大、継続的な人材確保の困難さや管理・再教育に関する社員の負荷といった派遣社員を活用したモデルの限界等、多くの課題があると思います。また、当局の体制強化や、新たなリスク管理手法の導入が検討されていること等も考えると、今、安全性情報管理業務は「具体的な」転換期を迎えていると言えるでしょう。今後、より科学的で詳細な症例評価、集積情報の分析といった積極的なアプローチが、患者の安全や、企業のリスク回避に一層必要となるのは間違いありません。こういった状況を一度に全て解決する手段はありませんが、有力な施策の1つがアウトソーシングです。周辺業務は外部のパートナーを活用して実施することで、社員のコア業務への集中を可能にします。

CACでは、副作用症例の電子的報告が日本で始まった2003年から、安全性情報管理業務に関するアウトソーシングサービスを提供しており、業務受託サービスとシステム・業務運用サービスを2つの柱としています。業務受託サービスでは、複数の製薬企業に対して年間数万症例の個別症例報告関連の支援を行っています。サービス提供に際しては、通常、まずはオンサイト(顧客先)にCACの支援要員を常駐させ、顧客とのコミュニケーションを十分にとり、顧客業務に対する理解を深めた上で、その後、徐々にオフサイト(CACオフィスにて受託業務を実施)に移行するような形式を取っています。オフサイトへの移行に当たっては、次のようなステップで準備を進めます。

  1. 全体計画の作成。
  2. 現状業務の分析、オフサイトでの業務に適した新業務手順の策定といった業務面での準備実施。
  3. 業務面での準備と並行して、ネットワーク、サーバー等のインフラ面での準備実施。
  4. バリデーションの実施(新たな手順、インフラで問題なく業務が実施できるかの確認、PQに相当)。
  5. 実環境でのトライアル
  6. 本番業務の開始及び継続的な改善。

もう1つの柱であるシステム・業務運用サービスでは、ハウジング、ホスティングから安全性情報管理パッケージ等のアプリケーション運用まで幅広いご支援を行っています。これによって、災害リスクの低減、セキュリティ確保、システム管理者の負荷軽減等を実現し、結果として社員のコア業務への集中に寄与できます。

また、今後の構想として「安全センター」と呼ぶべき体制の実現を検討中です。1箇所に要員を集中させることにより、医師などの専門家を含めた要員間/プロジェクト間の協力体制を作って、長期的・安定的な業務遂行体制を確立したいと考えています。従来のオンサイトモデルは、先述した派遣社員を活用したモデルの問題をCACが引き取った形ですが、安全センター構想は、問題そのものの解決・改善を目指すことになります。これによって、業務量等に応じた柔軟な対応ができる、顧客側の作業場所を開放できる、要員確保に関するリスクヘッジにもつながるといったメリットを顧客にご提供します。

そのためのオプションの1つとして、CACは海外の優秀な企業との協業を検討中です。このあと紹介するインドのTCS社には、医師を初めとする専門家が多数在籍しており、CACが日本の製薬企業から業務を受託し、TCSでは、それについて副作用症例の評価や副作用名のコーディングを行う等のモデルを計画中です。CACとTCS両社の経験と人材を、ぜひ製薬企業の皆様のお役に立てていただければ幸いです。

具体的な「転換期」を迎えた安全性情報管理業務の今後を検討される際、CACはさまざまな形でご支援できます。是非お気軽にご相談下さい!

セッション5-東京-

海外アウトソーシング事例

Dr. Gauri Balani Deputy Head, Life Sciences and Healthcare Services,Tata Consultancy Services Limited

Dr. Gauri Balani Deputy Head, Life Sciences and Healthcare Services,Tata Consultancy Services Limited

タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)は、1968年にインドで設立されたグローバルITサービス会社です。世界で初めてCMMIレベル5を達成し、さまざまな業界やドメインに、ITソリューションを提供しています。8年ほど前からは、ライフサイエンス、ヘルスケア、製薬などに参入し、現在、100社以上の大手クライアントと約850件のプロジェクトを抱えています。

製薬業界には、バックオフィス業務支援からアウトソーシングサービスまで幅広くサービスを展開しています。研究開発の分野では、臨床データ管理/メディカルライティング/PV/統計関連/セールス&プロモーションなどの支援を行っています。IT分野では、アプリケーションの統合/パッケージソフトの導入/システム統合、インフラ関連など多岐にわたるサービスを提供しております。また、ITだけでなく、BPOやコンサルティングなどを含め総合的な有害事象管理を支援する「Safety-in-a-Capsule」というパッケージも開発しました。

欧州の大手製薬企業に、TCSがPVの分野で実際に提供したサービス事例を紹介しましょう。2007年にプロジェクトを開始した時点では担当者一人当たり1~2症例、月間500~800症例を約30人の体制で担当していました。2008年11月の時点では、一人当たり6~8症例、月間4000~5000症例を、79名の体制で担当しています。症例数は5倍になりましたが、効率化の方法論やノウハウにより、要員数は2.5倍で済んでいます。症例データ収集やデータプロセシング、安全性情報プロセシングなどにも全般的サービスを提供しており、この部分について、CACとの協業によるサービス展開を検討中です。

また、プロジェクト遂行にあたっては、役割と責任を明確にしています。全体の管理者、実務を担当するコンサルタント、医学の知識を持ったメディカルアドバイザーなど、キーとなる役割を定義してサービスを提供しています。また、それぞれの役割に応じたトレーニングも組織的に行いました。こうしたことを明確に示せるのもTCSの強みです。このプロジェクトの成功により、新しいクライアントも2社獲得しています。

当社では、優秀な人材をいかに登用・採用してそれを保持するかという点に力を入れています。さまざまなスキルや経験、学歴や学位、前職を計測し、人材会社から、あるいは社内での転用などによって採用しています。採用した人材に長く働いてもらうよう、離職防止策に取り組んでいるおかげで、離職率は業界で一番低く、採用された社員から見ても魅力ある会社だと言えるでしょう。

現在、TCSとCACではアライアンスによる事業モデルを検討中で、両社の経験とノウハウを、ネットワークを通じて活用していきます。両社の連携により、製薬企業の皆様に包括的で高度なサービスを提供していきたいと思います。

セッション5-大阪-

市販直後調査システム「Vigilia」のご紹介

株式会社シーエーシー 医薬BTOユニット 医薬BTO第三センター

安全性グループ長 石田 みゆき

株式会社シーエーシー 医薬BTOユニット 医薬BTO第三センター 安全性グループ長 石田 みゆき

日本の独自制度である市販直後調査は、市販後早期の安全対策として非常に重要視されてきています。まずは、最近の当局の3つの動きから、日本の市販直後調査をとりまく状況を概観してみます。

  1. 重い副作用が予想される薬剤などについては市販直後調査の期間を延長するなどの方針が検討されている。将来、強い薬の承認が予定されている製薬企業は注意が必要。
  2. 市販直後安全性情報収集事業として、病院側へ厚労省から市販直後調査の実施状況が確認された。その結果による当局から企業への依頼事項として、管理部門はMRの訪問内容を把握すること、訪問状況や訪問時・手段がわかるようにすること、MRは直後調査で来たことを医療機関側にはっきり伝えること、などが挙げられた。
  3. 平成21年度の厚労省の医薬関連予算の概算要求では、医薬品・医療機器の安全対策の推進という分類の中に「適正使用情報提供状況確認等事業費の設置」という項目が追加され、要求額が1800万円増加。添付文書などが改定された場合に、適正使用情報が医療現場に適切に提供され、活用されているかを調査するとともに、情報提供が十分でなかった場合に対応を図るというもの。適正使用情報提供の活動状況の把握と対応者への教育徹底が必要となる。

次に、2006年より販売している市販直後調査システムVigiliaをご紹介します。Vigiliaは現在5社に導入されており、無事に直後調査が終了し、当局への報告を完了したお客様もいらっしゃいます。

Vigiliaユーザーからは、パッケージだからVigiliaを選んだ、という声がやはりあります。CSVも比較的楽に実施できるほか、CACが数社で市販直後調査システムの個別開発を経験したからこそ必要な機能や柔軟性などが考慮できており、カスタマイズなしに利用されています。導入支援、バリデーション支援、教育研修の支援なども準備しており、お客様の負荷を可能な限り軽減しています。Vigiliaユーザー企業では実施率が非常に高く、支援側としても嬉しく思います。

一方、営業支援系システムとの二重入力が面倒、という声もあり、CACではこの点を改善したいと考えています。GVP業務で利用されるシステムである市販直後調査と営業支援系システムとを一緒にするとバリデーション上問題があるので、連携機能を充実させることにしました。Vigiliaのアラート情報を営業支援系システムに表示させる仕組みや、MRがデータを入力する際に直後調査で訪問している場合はVigilia画面を呼び出す、などの仕組みが可能です。CACが2008年秋にパッケージ販売を開始した営業支援系システム「MR Navi Value」は、Vigiliaとは兄弟システムのようなもので高い親和性を実現しています。

また、市販直後調査のときしか使わないシステムを導入するのはもったいない、という声もあります。そこで、システムを末永く使っていただけるよう、適正使用情報伝達管理機能を開発しました。これは「Vigilia適正使用情報伝達管理」という名で2009年から提供を開始します。今後は、Vigiliaを安全対策を支援する「PV支援システム」として位置づけ、システムを導入するモデルだけでなく、サービスを利用していただくという形での提供、MRがモバイル入力できる機能の開発、適正使用情報の電子データを置く場所としての活用、などを検討していきたいと考えています。

●このイベントレポートに記載の会社名および製品名などは、各社の商標または登録商標です。


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