EXSUS開発秘話

2019年9月25日

システム技術担当 仙人掌キッド

 

統計解析に関わるシステムの技術を担当している仙人掌キッドです。
平日休日を問わず、時間を見つけてはスマートフォンでゲームを楽しんでいます。最近は、学生時代に流行っていたアニメやゲームの復刻版アプリも多く、懐かしさを感じインストール。気づけば、稼働していないアプリがたくさんあります。アンインストールしようと思いつつも、いつかやり直すかもしれない…と消せずにいる私です。どなたか断捨離のコツを教えてください。

さて本題です。当社がこれまでに20年以上販売してきたEXSUSですが、2018年にリリースしたバージョン10.0において基盤から作り換えるという決断をしました。長年ご愛顧いただいていたユーザーの皆さまには、ご迷惑やご負担をおかけしてしまいますが、これからも継続的に発展させるための第1歩と捉えていただければ幸いです。本コラムでは、そのEXSUS 10.0の開発に至った経緯と、その秘話をお話しさせていただきます。

EXSUSとは

EXSUSは、標準的な表計算ソフトである『Excel』と、世界的に定評のある統計パッケージ『SAS』を自動的に連動するシステムです。1995年に販売を開始して二十余年、これまでに70超の企業さまに導入・ご利用いただいております。そして、SASによる解析結果をユーザーがより簡単に得られるようにと、開発時に掲げた以下のコンセプトは今も変わることなく引き継がれています。

 

  • 「感覚的なマウス操作のみで SAS による解析」 が可能であること
  • データタイプや群の構成など、それぞれに実施可能な手法を示し「適切な検定手法の選択」 が可能であること
  • 検定手法の「追加・修正・メンテナンス」など、ニーズに応じて柔軟な対応が可能であること

EXSUSは主に、非臨床試験で汎用される生物統計手法をサポートしていることから、研究所でご利用いただくことが多いのですが、最近では臨床試験の統計解析領域でもご活用いただいています。

EXSUS10.0開発の経緯

EXSUSは、多くの企業さまにご利用いただいていた一方で、ユーザーからの新たな要望はもちろん、EXSUSの利用上、あるいは、当社の保守サポート上における、以下のような問題の解決が必要でした。

 

  • ユーザーが実行したい解析手法に、速やかにたどり着けない場合があり、中には仕組み上、変更しにくいものがあった
  • 英語化に対するご要望があるが、ソースコードのコメントに2バイト文字が多く、英語環境に最適化できず、インターフェースの英語化が進められない
  • ユーザーズガイドのボリュームが大きすぎて理解しづらい
  • 表示画面が20年前のコンピューターをほうふつさせるような作りで、今の時代にそぐわない
  • 画面開発に用いているシステム言語の、技術者確保が困難になりつつある
  • 他システムとの連携が簡単に実現できないデータ読み込み時において、特定の条件により、処理が停止してしまう場合がある

このように、問題は多岐にわたっており、これらすべてを解決するには、一から作り直すしか術はないと考え、基盤から開発し直す方向にかじをきりました。
また、EXSUS10.0開発の方針についても、以前からの開発方針を継承しながら以下三つに定め、開発を開始しました。

 ① EXSUSをより直感的に操作できるようにすること
 ② グローバルに対応していくために、英語環境でも利用できるようにすること
 ③ ユーザーズガイドをより利用しやすいものにすること

いざシステム開発へ

システム開発を進める上で初めに取り掛かったのは「変えてはいけないところ」と「変えるべきところ」の整理です。この点でユーザーの認識と相違があると大幅な手戻りが発生してしまうことから、慎重に慎重を重ねました。プロトタイプを作り、問題点を洗い出す。そしてプロトタイプを改善し、ディスカッション。
以下のような場面で、ご意見やご要望を頂戴しながら、それを繰り返していきました。

 

  • 監修いただいている先生やユーザーからの声
  • デモンストレーション時における、ユーザーの質疑
  • ベータ版リリース時にお寄せいただいたご意見・コメント

ご協力いただいた皆さまには、この場をお借りして御礼申し上げます。

EXSUS10.0の開発には、既存の担当者だけでなく、当社のさまざまなメンバーに技術調査の段階から参画・支援してもらいました。新メンバーの参画により、それぞれが培ってきた文化の違いによる認識や意見の相違から、当初は同じ方向に向くことすらも大変な状況でしたが、それがかえって根本原因をひも解く重要なヒントとなり、今振り返ればこの工程は決して欠かすことのできないものだったと感じています。たくさんの議論による気づきがあり、そこから生まれた機能も多数あります。解析手法の検索機能やお気に入り機能、入力様式テンプレートの出力、解析結果・グラフのプレビュー機能、解析手法一覧編集機能などはその結晶だといえるでしょう。EXSUS 10.0へのバージョンアップは、従来のような解析手法の追加のみでなく、「より使いやすく」という部分に焦点を当てています。ユーザーの皆さまに改めてご利用いただき、使いやすくなったなと感じていただければ、この上なく嬉しい限りです。

EXSUSの販売を開始した当初(1995年)から、統計学の権威であられた東京理科大学の故・浜田 知久馬先生に監修いただいておりました。年に2回行っているEXSUSユーザー会の基調講演をはじめ、製品のバージョンアップにも専門家目線の貴重なアドバイスを下さり、本製品の機能充実にお力添えいただきました。これまで、たくさんの質問や相談をさせていただきましたが、メールを送った2~3分後には何らかのご回答を下さるというスピード感に、つど驚いていたことを思い出します。時にはお電話でご回答いただくこともありましたので、メールを送って数分間は、電話とにらめっこしたことも今では良い思い出です(^^)。また、ユーザー会に参加いただいている方には、確かにそうだった、と思い返す方もおられるのではないでしょうか。
2018年からは京都大学の魚住 龍史講師に監修をお願いしております。魚住先生は、さまざまな場面でご活躍されており、とてもご多忙である中、監修をご快諾いただだき本当に感謝しております。現在も、さまざまなご提案をいただき、さらなるバージョンアップを目指しているところです。

ユーザーの皆さまからは、さまざまな場面でアイデアをいただけたことに感謝しております。
特にユーザー会の懇親の場で、当社に代わってEXSUSの展望・構想を熱く語っていただいたことは、開発者冥利に尽きます。この場をお借りして御礼申し上げるとともに、今後も引き続きご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

EXSUS 10.0の開発を終えて

EXSUS10.0の開発を決めて約2年後。2018年には無事リリースし、2019年9月現在で24社が既にこのバージョンをご活用されています。私たち開発者もリリースを終えて一段落…ではなく、EXSUSを発展させるための単なるスタート地点だと捉え「基盤が大きく変わった今こそ、これまでできなかった機能が作れる」と、新たな開発に向けてメンバー一同が期待を膨らませているところです。さらなる発展に向けて挑戦し続けてまいりますので、これからも変わらぬご愛顧を頂戴できましたら幸いです。

EXSUS 10.0のミニ知識

EXSUSイメージカラー誕生の背景

画面を設計する際にEXSUSのイメージカラーを決めることになり、「統計解析のシステム」「新薬の開発で利用される」「研究で用いる」など、これらのコンセプトにふさわしいのは何色だろう?その結果が、イラストからもお分かりの通り「緑」。熟考したようで、イグザウルス…草原…緑…という具合に、実はふと浮かんだ直観から誕生しました。イメージカラーに従い、EXSUSの画面も緑を差し込んでいます。緑は自然を連想し、リラックス効果があるといわれ、作業をしつつ緊張を緩和させる効果も期待しています。

 

EXSUSのイメージキャラクター イグザウルス
EXSUSのイメージキャラクター『イグザウルス』

 

EXSUSのメイン画面
EXSUSのメイン画面

EXSUSアイコンも作成

EXSUS10.0では、搭載している手法を14種にカテゴライズし、それぞれの手法を開発担当者のイメージで分かりやすくアイコン化しました。以下はその一覧です。各手法とアイコンの組み合わせはあなたの感覚と一致しますでしょうか?ぜひご意見をいただければ幸甚です。

 

EXSUS10.0アイコン

  • データの分布(正規性の検定、等分散性検定等)
  • 群間比較
  • ツリー型アルゴリズム
  • 生存時間解析
  • がん原性試験の解析
  • 対応のある検定
  • 用量反応関係(主に線形回帰、回帰分析等)
  • パラメータ推定(主に非線形回帰、酵素阻害反応試験、受容体結合試験等)
  • 要因の効果(二元配置分散分析、ラテン方格分散分析)
  • 同等性の検定(生物学的同等性試験の解析)
  • 割付
  • 例数設計
  • βエラー算出
  • p値の調整(Bonferroniの調整、Holmの調整)

答えはこちら

 

最後までお読みいただきありがとうございました。次号もお楽しみに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①生存時間解析 ②用量反応関係(主に線形回帰、回帰分析等) ③対応のある検定 ④要因の効果(二元配置分散分析、ラテン方格分散分析) ⑤データの分布(正規性の検定、等分散性検定等) ⑥割付 ⑦p値の調整(Bonferroniの調整、Holmの調整) ⑧ツリー型アルゴリズム ⑨パラメータ推定(主に非線形回帰、酵素阻害反応試験、受容体結合試験等) ⑩群間比較 ⑪同等性の検定(生物学的同等性試験の解析) ⑫例数設計 ⑬βエラー算出 ⑭がん原性試験の解析

 

 

※記載されている情報は2019年9月時点のものです。


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