これからのPV業務

2019年8月20日

PVスペシャリスト タピ岡



初めまして。PVスペシャリストのタピ岡です。
千葉ロッテファンをやっておりますが、長年優勝から遠ざかっています。最近はドラフトのクジ運がよいので、5年後には優勝できると信じて応援し続けます。

早速本題へ。本コラムでは、これからの医薬品安全性監視(PV)業務について自分なりの考えを書いています。たくさんの業務量に対して、品質を保ちつつ効率を上げるには、どうすべきか。みなさまのお悩みを解決するヒントになれば幸いです。

PV業務の概要

PV業務はざっくりと以下の2つを目的とした活動に分けられるのではないでしょうか。

  • 有害事象情報の収集・評価・解析を中心とした活動
  • 患者さんのリスクを低減するためのリスク最小化活動

前者は、さまざまな情報源から有害事象を収集・評価して必要に応じて当局へ報告します。
後者は、前者で収集した情報を基にして、必要に応じて添付文書の改訂等の安全対策を実施します。
本コラムでは、特に前者の活動にフォーカスし、IT技術でいかに業務を効率化できるか、考えてみたいと思います。

PVで処理する情報は増えている

薬の種類の増加、医療従事者の意識変化など、当局への副作用報告は年々増加傾向にあります。
また、インターネットやソーシャルメディア等、情報源についても多岐にわたるようになってきました。つまり、PV業務で処理する情報は増える一方であり、今後もその傾向は続くことが予想されます。
しかし、業務量が増えたからといって、利用可能なリソースや予算が増えるわけではありません。
それどころか、製薬会社のPV部門は、リソースやコストを増やさずに(むしろ削減して)、より多くの情報を処理することを求められています。
また、処理する情報が増えるということは、人間が読まなければならない文章が増える、とも言い換えることができます。そこでタピ岡は考えました。今流行のAIやRPAで、文章から情報を読み取る作業をコンピューターにやってもらうことはできないものかと。

※AI:Artificial Intelligence
※RPA:Robotic Process Automation

コンピューターに文章を読んでもらう

最近では、スマートフォンやスマートスピーカーに「今日の天気は?」と聞くと、「今日は雨が降るでしょう。」と返事をしてくれるようになりました。これはAIの発達により、私たち人間が書いたり話したりする言語(自然言語)をコンピューターが処理・判断できるようになったためです。
では、このような自然言語処理をPV業務に応用するとどのようなことができるのか、当社で進めている取り組みを少し紹介したいと思います。


  • 記載用語のMedDRAコーディング

現状のPV業務では、文章に記載された用語を、業務担当者が頭の中で検索用語に変換し、MedDRA検索ツールに入力して、コードを確定することが多いと思います。
過去にコーディングしたことがある用語であれば、ルールも整備されていて人に依存しないコーディング結果になりますが、初出用語の場合は、人によってコーディング結果に違いがでる事があります。
しかし、過去の経験を学習させたAIに検索用語を推論させれば、初出用語でも、個人の経験値に左右されない画一的なコーディングが可能になります。

 

MedDRA用語を推論した結果の例

 

上図は、記載用語からMedDRA用語を推論した結果の例です。
「体がだるい」「熱がある」といった平易な表現、脱字を含んだ語句、「震え」「ふるえ」の表記揺れ、「しょぼしょぼ」「フワフワ」といったオノマトペを含む表現についても、人が見てあまり違和感がない推論結果が得られています。

 

  • 文献の文章から有害事象を推論

次の例は、記載用語ではなく文章からの推論です。ある文献の文章を使って、文章内の有害事象を推論してみました。下図の通り、こちらもあまり違和感がない推論結果が得られることがわかります。

 

文献の文章からの推論例
[クリックで拡大します]

 

ここでは有害事象の推論について紹介しましたが、被疑薬や患者情報についても同様に推論が可能です。さらに、重篤性や因果関係の評価にも取り組んでいるところです。

PV業務は自動化に向かう

さて、コンピューターに文章を読んでもらうことで、PV業務はどのように変わるでしょうか。
コンピューターが得意なことの1つに、大量のデータをスピーディーに処理できることが挙げられます。そこで、コンピューターにトリアージを任せて、人はコンピューターの推論結果を評価する、といった分業が考えられます。
また、人の評価結果を正しいデータとして蓄積し⇒蓄積したデータを学習させ⇒推論の精度を検証する、といった下図のサイクルを回すことで、コンピューターに任せられる作業を増やし、業務の自動化を進めることで、品質を保ったまま、低コストでスピーディーなPV業務が実現できるのではないかと考えます。

 

評価→データ→学習→検証→推論→評価というサイクル

 

当社は「CRO×IT」を合言葉に、ITを活用して製薬会社様の業務を支援しています。業務に関するお悩み事がありましたら、お気軽に当社までご相談ください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。次号もお楽しみに!

 

 

※記載されている情報は2019年8月時点のものです。


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