eSourceって何?

2019年7月9日

イクメンパパのしろいキリン



みなさん初めまして。ビジネス企画を担当しているイクメンパパのしろいキリンです。
週末に料理を作っても子どもがあまり食べてくれないのが、最近のちょっとした悩みです。


本コラムでは、「eSource」という言葉は聞いたことがあっても、イマイチ内容がピンとこないなぁと感じている方に、eSourceの基本から、分類とシステムの具体例、そして、最近注目を集めている電子的な患者情報アウトカム(ePRO)についてお話しします。

eSourceとは

まずは「eSource」の言葉の定義について確認しましょう。

FDA・EMAによる通知では「Electronic Source Data:電子原データ」と記載されています。

また、GCPでは、「被験者に対する治験薬又は製造販売後臨床試験薬の投与及び診療により得られたデータその他の記録をいう。」と書いてありますので、eSourceは、「治験の原資料となり得る電子的に記録された情報」と定義できます。

これまでの治験では、被験者を診察した際の紙の原資料情報をEDCシステムへ登録して治験データを管理することが一般的でした。
また、治験が正しく遂行されていることを確認するモニタリング活動では、「紙の原資料」と、EDCに入力された治験データの整合性を確認する業務がありますが、これらの作業には膨大な作業時間が必要になっていました。

しかし、eSourceを活用した治験では、原資料が紙から電子データに置き換わることで、そもそもデータの整合性確認が不要になります。
また、紙の紛失や転記ミスなどの心配もなくなるため、治験の効率化と品質向上につながると考えられています。

eSourceの具体例

「eSource」について、より実感を持っていただくために、製薬大手20社が参加する団体TransCelerateが、データ収集方法に着目して分けた4つの分類を紹介するとともに、システムの具体例も見て行きます。

 

    • EMR/EHR(Electronic Medical Records/Electronic Health Records)
      • 医師や患者自身が、電子カルテ等のシステムを使用して、被験者個人の医療・健康データや臨床試験データを登録する方法です。
      • システムの具体例としては、単一の医療機関における電子カルテ EMRや、医療機関を超えて、診療情報、個人の情報を蓄積するEHRがあります。
        EHRは総務省が「医療情報連携基盤」と呼んでいて、地域医療情報連携ネットワークの構築等に活用されています。

     

    • Devices&Apps
      • 被験者や介護者等が、モバイルデバイスとデバイス上のアプリを使用して、臨床試験データを、登録する方法です。
      • システムの具体例としては、スマートウォッチなどのウェアラブル機器によって、自宅で服薬した際の血圧・脈拍・活動量などを計測するものがあり、スマートフォン上のアプリで動くePROやeConsentなども含まれます。

     

    • Non-CRFs
      • 治験の関係者・関係組織が、院内や院外でおこなった検査データを、症例報告書を記入せずに直接EDCシステムへ登録する方法です。
      • システムの具体例としては、臨床検査機関の血液検査システムや、MRI画像を撮影するMRI装置・システムがあります。

     

    • Direct Data Capture
      • 医療機関の院内スタッフが、iPad等を活用して臨床試験データをEDCシステム等へ直接入力する方法です。
      • システムの具体例としては、EDCもしくは類似システムです。

     

    このように、「eSource」と一口にいっても、医師等の日常診療の延長で収集するのか、患者から直接収集するのか、検査会社等から収集するのか、治験スタッフが収集するのかによって、検討事項は大きく変わります。この点を切り分けて議論するだけでも、少し検討しやすくなるのではないでしょうか。

    最近注目のeSource

    近年の医薬品開発においては、「患者中心(Patient Centricity)」の考え方が注目されています。
    現在、パブリックコメントを募集中のICH E8 「臨床試験の一般指針」改訂(案)においても、次のように臨床試験をデザインする段階で患者が関与することに対する効果が記載されています。

    ” 試験デザインの早期の段階に患者が関与することは、試験の信用を高め、組み入れを容易にし、

    試験の期間中継続しなければならない遵守を促進する可能性がある。 ”

    最近では、このような患者の主観的情報の収集を目的として、ePROが注目され、数多くの製品が開発されています。(前述の分類では、eSource/Devices&Appsに分類されます。) 一方で、多くのePRO製品からどのように選んでいいのかお悩みの方も多いのではないでしょうか。
    最後に、これからePROを検討される際にポイントとなる観点を3点ご紹介して終わります。

     

    1.評価項目の実績確認
    まず、ePRO製品における評価項目の実績について確認した方がよいでしょう。
    特に試験で利用したい評価項目が定まっているならば、その実績を確認しておくことは重要です。製品の機能として評価項目を実現できなければ意味がありません。さらに実績が豊富であれば予め問題点を教えてもらいやすいからです。

    2.費用の確認
    次に、費用面の確認も大切です。予算にあわなければ無い袖は振れません。求める要件として費用に大きく影響するのは、端末を貸し出すのか、患者個人の端末を利用するのかです。貸出端末を用意する場合は、普通に端末を購入しても1台数万円することから、症例数に比例して高額となります。また、端末貸出サービスの有無や、利用時のサポート内容は、ePRO製品を提供する会社ごとに異なります。試験ごとの求める要件にあわせて確認・検討されるべきでしょう。

    3.委託先の業務フローの確認
    最後に、ePROの導入・運用作業を外部企業へ委託する場合は、委託先企業においてePRO導入・運用時の業務フローがきちんと整っているか確認することも重要です。
    「導入時に関係者との調整はきちんと考慮されているのか」や、「端末故障時の対応は考慮されているのか」などは問題になりやすいポイントです。

    技術変化の激しい近年では変化に追いついていくだけでも大変ですが、当社でも最新動向をウォッチしてCROとして皆様の医薬品開発のご支援へ生かしていきたいと考えています。

     

    最後までお読みいただきありがとうございました。次号もお楽しみに!

     

     

    ※記載されている情報は2019年7月時点のものです。


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